これからの君と話をしよう

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白木夏子トークショー雑感、あるいはスクールカースト

 ちょっと唐突ですが、先月参加した社会起業家さんのトークショーの話。

 今回のエントリは、以前、Facebookノートに書いた内容と一部同じです。

 

 エシカルジュエリーブランド「HASUNA Co.,Ltd」を立ち上げた社会起業家・白木夏子さんのトークショーが、3月13日に代官山TSUTAYA書店で行われたので行ってきました。

 そこで印象的だったエピソードを一部抜粋して紹介したいと思います。

 

 白木さんは大学時代、南インドの「アウトカースト」と呼ばれる地域に2ヶ月間滞在されていたそうです。

 そこは、フィールドワークをしている人でも滅多に訪れないような場所だとか。 「カースト制度なんてとっくに廃止されたものだと思っていたけれど、根深かった」とのこと。

「アウトカースト」は、一般的なカーストの中にさえ入っていなくて、そこの住民は1日1ドル以下で奴隷・娼婦のような生活をさせられているんだそうです。

 アウトカーストの場所はチョークで線が引かれており、その村から出ることはゆるされなかったり、水も満足に飲ませてもらえなかったり……。小中学生のいじめみたいだった、と白木さんはおっしゃっていました。

 アウトカーストの人は寺院にも行くことができず、家に祭壇を作ってお祈りをしたりしているそうです。

 

 ここで私にとって印象的だったのは、「寺院や祭壇でお祈りすること」って、宗教色が強い文化圏では、「水を飲む」ということと同じ流れで語られるくらい重要なんだなぁ、ということ。神様に祈ること、というのは、私にはあまり馴染みのない習慣なので。

 発展途上国の子どもたちは日本の子どもより目がキラキラしている、とはよく言われる言葉ですが、 アウトカーストの子どもたちについては、まったくそのようなことはなかったそうです。

 日々差別を受けていて、遊ぶことも許されず、女の子も鉱山で働かされたり、娼婦としても扱われたり……。

「宝石は私たちの生活を豊かにするためのものなのに、その採取が行われる鉱山ではどうしてこんなことになっているの?」と、「胸に穴があいた」思いをした、と白木さん。

「企業が悪いんだ」と思い、企業でないところで働こうと思い国連に入られた白木さん。 国連には、“すごい人”がたくさんいたそうです。 でも、こんなにすごい人が国連にいるのにどうして貧困問題はいつまで経っても解決しないんだろう……と白木さんは思ったそうですが、 「国連の人は、全世界のほんの一握りの人だから」と気づいたそうです。

 

「世の中は、99%の“普通の人”で動いている。 途上国援助の世界にいない人にも、自然なカタチでお金を流してもらえるようにすれば、世界は変わるのでは」と考えられたそうで。 それが、HASUNAを立ち上げようと思ったきっかけだそうです。

 それから、ベリーズ、パキスタンなどさまざまな途上国と組んでジュエリーを手がけてきた白木さん。

「インドのアウトカーストには、何かしているの?」 という会場からの質問については、 「まだ何もできていない」そうです。

 カーストの問題は難しく、簡単には始められないんだとか。 下手に持ちかけてしまったら、より過酷な労働条件が突きつけられたり、村が焼き払われたりしかねないそうです……。

「入り方が非常にデリケートで、介入する場合は政府レベルでないと」とのこと。

 

 このエピソードを聞いたとき、卑近な例えになってしまいますが、ほんとうに子どものいじめと似ているなぁ、と思ってしまいました。

 いじめだって、先生や保護者に相談をしたらより酷くなってしまう……というパターンがありますし。 近年、教室内に存在するあの見えない序列を「スクールカースト」と表現する流れが広まっていますが、カースト、とはよく言ったものだと思います。

「“与える人”と“受け取る人”の援助の関係では、発展途上国の人は自立できず、問題の解決にはならない。“等価交換”にしていかないと」 といったことも白木さんはおっしゃっていたのですが(というか、社会起業ではこの考え方で動いている組織が多いと思いますが)、これもついスクールカーストと重ねて考えてしまいました。

「あのグループは活発で華やかだから“上”で、このグループは控えめで地味だから“下”」「“上”の人は“下”の人のことも意識してあげよう」ではなく、 「活発なことも、控えめなことも、同等の“個性”」とならないと、スクールカーストの呪縛はなくなりにくい気がします。

 白木さんは、 「ジュエリーはとても可能性のあるもの。人は文明ができる前から石を身につけたりお守りにしていたり、ジュエリーは人との歴史を作ってきた。これから何百年、何千年経ってもジュエリーは求められていく」と考えられているそうです。

 以前、思想家の内田樹先生が立命館大学に講演に来られたとき、「人間は服を着るようになる前から化粧をしていた」ということを話されていましたが、それに通じるものを感じました。

 

 白木さんは、「どんなに仕事がしんどくても、インドで苦しんでいる子どもたちを前にして何もできなかったあの悔しさに比べたら、まったく辛くない。今の事業をやると決めてからは苦じゃなかった」ということもおっしゃっていました。

 このあたりに関してはいろいろと思うところがあるのですが、今回はここまでにしておきたいと思います。

 

 これからも応援し続けます、白木夏子さん。